妖女サイベルの呼び声


「おもしろかった★★★★☆」でした。


しっかりしたファンタジーを読んだぁ!って気になりました。最近は最近の本ばかり読んでいたので、どっちかというと目新しいけれど浮ついたというか、現代調で軽い口調のものが多かった(口調だけ軽くて重いのもありましたが)気がするのですが、人物描写もしっかりしていてなんだか、大人のしっとりしたファンタジーという感じです。長々と続くのではなく、1冊で終わるというのもよいです。

「妖女」とか「魔術師」というと呪いとか魔法とか派手で特殊なものを思い浮かべますが、この本の主人公サイベルは、特殊な能力を持った一人の孤独な女性として描かれています。人の世から離れ、書物と幻獣たちとそれらを扱う力だけが彼女の生活のすべてだったところに、赤児をつれた騎士が訪れ、彼女は変わっていきます。力を持った存在というだけだった彼女が、愛情を知り、憎しみを覚え、喜び、苦悩します。いろいろな人の思惑が入り乱れる中、独りで自分の思う道を進んで行く彼女にとても惹かれました。子供よりも、大人の人に読んで欲しい作品です。

次は、「七王国の玉座〈1〉―氷と炎の歌(1)」を読もうと思います。


はてな年間100冊読書クラブ」63/100